カジノゲームでプロとして成功しようとするなら、どうしても確率統計論とゲーム理論は避けて通れない道です。なかでもケリー基準はプロギャンブラーの多くが理解し、程度の差はあれど応用しているもの。少し煩わしい話ではありますが、このページでは初心者にもわかりやすいように解説していきます!
ケリー基準は、賭けや投資の戦略を最適化するための数学的な理論に由来します。この理論は、賭けや投資におけるリスクとリターンのバランスを計算し、最適な賭けのサイズを計算するのに役立ちます。ケリー基準は、特にギャンブルや投資において資本を最大化し、損失を最小限に抑えるために使用されます。オンラインカジノでは特にトランプを用いるゲームで確率が全て公開されているので、様々な賭け金でケリー基準 シミュレーションを行うことで特定の賭けや投資戦略の最適な賭け額を見つけることができます。
目次
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ケリー基準とは?
ケリー基準(Kelly Criterion)は利益を最大化するために最適なベットの大きさを測るための算出方法です。1956年にベル(通信大手AT&Tの前身)研究所の研究員であったジョン・ラリー・ケリー・ジュニア(John Larry Kelly Jr.)によって理論構築されました。ウォーレン・バフェットなどが実際に使っていることでどちらかというと金融投資の世界で名を馳せるケリー基準ですが、カジノギャンブルにも適用できることで知られています。
ケリー基準の仕組み
もう少し掘り下げると、ケリー基準(kelly criterion)は期待値がプラスになる場面だけで適用でき、バンクロール(賭けに使える総額)のうちいくらを1つのベットに使って良いのかを判断する基準となります。つまり還元率が100%を超えた(ハウスエッジがマイナス)状態というのが前提条件で、カジノゲームではブラックジャックでカウントがプレイヤー有利になった場合に適用できるということになります。スポーツブックでも応用できますがブラックジャックよりも複雑で、「プレイヤー自身が算出したオッズよりもカジノ側がつけているオッズのほうが高い場合」に適用可能です。
また、上記の条件に付け加えて勝率が50%を超える場合でなければ計算の結果が0となる、つまり賭けるべきではないと判断されることも重要です。つまり、期待値が大幅にプラスであっても、勝率が50%以下であれば使用できないため、勝率が50%を超え、期待値が100%を超える両方の条件を満たす限られた場面でのみ使用することができます。
興味深い実験結果が発表されているので、これを例に一般的な認識のズレとケリー基準が果たす役割を説明してみます。実験の前提は以下のとおりです:
こんな実験に参加する機会があったとして、みなさんならどう賭けるでしょうか?
実際の結果は、思いがけないものとなりました。
このように、知識がないと最適戦略は人によってバラバラ。そこで一定の指標をつくることで理想的な結果に近づく方法として考え出されたのがケリー基準です。
ケリーの公式
ケリー基準は何種類かの数式で表すことができますが、ここではすべての数式の元となっていて一般的にケリーの公式と呼ばれているものをご紹介します。
それぞれの値が意味するものは以下のとおりです:
これらの値を組み込んでFを算出することがケリー基準の公式の目的です:
F=(B✕PーQ)÷B
上の実験例だと(1 x 0.6 – 0.4)÷1 = 0.2となります。つまり、バンクロールの20%を毎回賭けるのが理想的だったということになります。具体的には状況に応じて以下のような賭け金となります:
ケリー 基準の公式に従ってこのように賭けていけば、理論上は最も効率的に当初の$25を増やしていくことができたというわけです。
そして、毎回バンクロールの20%しか賭けていないという点にも注目です。つまり、資産が0になってしまうことは(あくまで理論上の話ですが)絶対にないわけです。
ではケリーの公式をブラックジャックに当てはめてみましょう。ケリーの公式では還元率が100%を超える場面でのみ使用ができるため、カードカウンティングを使用し勝率が51%とプレイヤーに有利状況で計算を行います。
手持ちが100ドルの場合には、最適な賭け金はバンクロールの2%、つまり2ドルの賭け金を賭け続けることで長期的に利益が増える可能性があります。勝率が変わらない場合はバンクロールの賭け金の割合も変わらないため、手持ちが1,000ドルであれば20ドルの賭け金となります。
確率はギャンブルや投資などの意思決定において非常に重要な要素ですが、必ずしも当てになるわけではありません。kelly criterionではあくまでも理論上と計算上の数値であるため、実際に試行するとズレが生じる可能性が否定できないことを理解しておく必要があります。
基本的に確率や期待値などは膨大な数の試行に基づいているため、ブラックジャックなどを生涯に渡って遊び続けた場合の期待値となります。しかし、現実的にはブラックジャックを長期間に渡って遊び続けることは難しく、1日に遊んだとしても50ゲーム程度が限度となります。そのため、確率の偏りから期待値を手にする前にバンクロール資金を全て失ってしまう可能性も0ではありません。ケリー基準の実行自体は難しくないものの、計算通りの結果が得られる前にやめてしまうことや全て負けてしまう事もあり、実際に用いる事ができるかと問われると実現可能性には難しい部分が残ります。
日本では競馬に次ぐ人気の公営ギャンブルに競艇があります。競艇ではスポーツベットとは異なり、賭けられた金額(口数)に基づいてオッズが決まるパリミチュアル方式であるため、破産確率や期待値の計算がベット受付終了後にしか行いえない、つまり期待値に基づいて賭ける事ができないという特徴があります。
競艇 破産確率の計算自体は複雑なものであるため、オッズ2.0倍の単勝に100円を賭ける条件でシュミレーションを行います。まず、1回の勝負において勝つ確率は1/6であり、負ける確率は5/6です。したがって、1回の勝負で期待されるリターン(期待値)は、
期待値 = (勝つ確率 × 勝った場合のリターン) – (負ける確率 × 負けた場合のリターン)
期待値 = (1/6 × 200円) – (5/6 × 100円)
期待値 = 300 / 6
期待値 = -50円
つまり、1回の勝負において、平均的には50円の損失が期待されます。この損失は、賭けにおけるリスクを示しています。簡単な近似値を考えると、1回の勝負で平均的に50円の損失が期待されるため、1万円の予算を使い切るためには200回の連続的な敗北が必要です。勝率が1/6であるため、1回の勝負で敗北する確率は5/6です。したがって、200回の勝負を連続して敗北する確率は(5/6)^200 となり、100万分の1以下となります。
この破産確率は賭け金と期待値のバランスに応じて大きく変動するため、例えば1回で手持ちを全て賭ける場合には確率が約69.4%まで高まります。
オンラインカジノでの応用
先にも触れたとおり、ケリー基準はカジノでは特定の条件下でのブラックジャックでのみ適用できます。つまり毎ハンドカードがシャッフルされるRNGのバーチャルブラックジャックでは使えませんが、ライブブラックジャックでは活用が可能です。詳しくはオンラインブラックジャックの必勝法とブラックジャックのカードカウンティングのページも合わせてお読みください!
よくある質問
古くからギャンブラーのあいだでは出回っていた理論を、アメリカ人のケリー氏が具体的に数式化したのがケリー基準だといわれています。
プレイヤー側の期待値がプラスになった場面にかぎって利益を最大化する目的で考案されたケリー基準は、広義の意味での必勝法といっていいかもしれません。
ケリー基準が使えるカジノゲームはかなり限定的で、ブラックジャックが代表的です。ただしブラックジャックであってもカウントがプレイヤー有利になった場面のみに限定されます。
ケリー基準は海外で合法的に運営されているオンラインカジノであれば日本からアクセスできるライブカジノでも合法的に使うことができます。
はい、ケリー基準はむしろ金融投資のために考案されたものです。ただしギャンブルで一般的に使われるケリーの公式をより発展させた複雑な数式が使われる傾向にあります。
まれにライブカジノで使えるボーナスがオファーされていることもありますが、その場合も最大ベット上限が$5程度に設定されていることがほとんどで、ケリー基準を実践する場としてはふさわしくありません。